元バイク買取業者『トラ吉』が教える!【高額バイク査定】のコツ

バイク買取物語

バイクとの出会い

自分がバイクと出会ったのは18歳。当時、車の免許を取るか、バイクの免許を取るか悩んでいた、普通の大学生でした。大学迄通学するのにバイクか車があれば便利だな。と思って免許取得を志しました。結果、車の免許を取るお金が無くバイクに(笑)

最初に乗ったバイクはフュージョン。 250ccのビックスクーターです。

なぜ、このバイクを選んだかと言うと、単純にバイク屋で一目惚れ…。親父に頭を下げてローンを組みました。このバイクが、自分のバイク人生最初のバイクになりました。

初めての自分のバイク。フュージョン。その名もフュー太。まるで、子供の様に自分のバイクを愛していたのを覚えています(笑)

初めてのデート。

フュー太との初めてのデートは、東京〜岩手。田舎のじいちゃんの家に、夏休みで行きました。

600キロ位だったか…。良く覚えていませんが、かなり時間がかかったのを覚えています。途中、トラックに煽られ、2度コケて、膝を擦りむき、ボロボロの体で岩手へ向かいました。

準備不足もあって、途中野宿まで経験した初めてのツーリングでしたが、初めての経験がたくさん出来て、本当に良い思い出です。

ホームレスのおっさんに飯をもらい、旅館で無料に泊めてもらって、風呂にまで入れてもらい…。人の温かさを身に染みて感じました。

しかし、夏なので野宿は辛い(笑)蚊がすごい数襲って来て、一晩中戦っていたのを覚えています。本当に、良い思い出です。

その後、全国様々な所へツーリングへ出掛けたのですが、ある日、大変な事件が起こります。

愛しのフュー太が…。

トラックと衝突・大破。
ある日、大学へ行く途中で、朝国道を走っていました。

家から5分ほどの所で信号待ち。なぜか国道なのに、いつも空いている不思議な道路でした。

信号待ちをして、青になったので発進しました。すると、右折してきたトラックが、すごいスピードで向かって来るのです。

とっさに「やばい!」と判断した自分はブレーキ!しかし、横から来るトラックに対して、ブレーキなんてしたら当たって下さいと言っている様なもの。見事、衝突…。

「ガシャン!!!」

その時の記憶はあまり覚えていませんが、トラックはそのまま逃げて、自分はバイクから放り出され、フュー太は無残に大破していました。

後日、警察からトラックの会社がわかったという事で、色々とあったのですが、それらは親が対処。自分は左足を骨折しただけで、他は打撲程度でした。

残念なのはフュー太。 1万キロ以上一緒に走ってきた恋人が、無残な姿で車庫に眠っています…。その時、バイクが非常に怖くなっていたので乗る事は出来ませんが、何とか直してあげようと思い、貯金を崩して修理に出したのでした…。

無残なフュー太。そして修理。

無残なフュー太。エンジン部分から何から交換しなければいけなく、ディーラーへ持って行きました。もちろん、保険の金額と慰謝料だけでは足りません。

はっきり言って、新車も余裕で買える金額でした。しかし、自分は修理を頼みました。ディーラーの方は、渋い顔をしていましたが、どうにか頼み込んで修理をしてもらったのです。

期間は2ヶ月。修理に2ヶ月って…。と思いましたが、1年近く一緒に連れ添ったバイク。それを、簡単にスクラップにする事は、どうしても出来なかったのです。この時には、もうバイクの魅力に取り憑かれていたのでしょう。

2ヶ月度、修理をして、綺麗になったフュー太が自宅に届きました。エンジンも快調。足回りも快調。 4ヶ月ぶりに、綺麗な状態になったフュー太を見た瞬間、自分はなぜか涙を流していました(笑)

親父には、「バイク馬鹿はいい加減直せよ…。事故起こしたんだぞ」と言われました(笑)早速乗ってみようと足をかけた瞬間です…。

自分には予想できなかった、ある事が起きたのです。

バイク恐怖症…。そして決意。

早速乗ろうと、ステップに足を掛けました。

そしてエンジンを回し、アクセルを絞る。

すると、なぜか心臓の鼓動が異常に高くなったのです。

そのまま貧血気味になり、急いでバイクを降りてその場で座り込んでしまいました。何でも、事故等を起こした人はトラウマによって、良くあるらしいのです。

見事なまでのバイク恐怖症。

悩みました。その時にはもう車の免許も持っていたので、親の車に乗ってみても、ダメです。恐怖が自分を襲ってきました。

その後、自分のバイクを見る度に胸の鼓動が激しくなり、息苦しくなってしまいました。

もうフュー太に乗る事は出来ない。そう決意をして、バイクを売る事に決めたのです。

どうしても、愛着のあるフュー太をスクラップにする事は出来ませんでした。フュー太を大事にしてくれる人に乗ってもらいたい。そう思って、バイクを売る事にしたのです。

バイクを高く売るための努力

出来るだけフュー太は高く売りたい。少なくとも、相場よりも2〜3万円は高く買い取ってもらいたい。そのために、高く売るための努力をたくさんしました。

まずは洗車。もちろん、ピッカピカにして、ワックスも塗り込みます。そして、エンジンルームの掃除。

さらに、アルミのステップやマフラーを磨いて、キズの一つも無くします。マフラーも新品なので、ほとんど磨く必要は無かったのですが、小さな汚れ等も全て磨き込みます。事故車だという事がわからない位、ぴかぴかにするのです。

洗車等が終わり、新車同然のフュー太を見た時、とても誇らしい気持ちになったのですが、これから自分の手元から離れていくと思うと、とても悲しい気持ちになってしまいました。

「頑張ってな」

柄でも無いですが、心の中でそんな言葉をフュー太に言いました。どれだけバイク馬鹿なんだと親に言われましたが、自分がフュー太を愛する気持ちは、誰にもわからないでしょう。

そして、ついにフュー太を売るために地元のバイク屋へ出掛けます…。しかし、そこではまた驚きがあったのでした…。

地元バイク屋で買い叩かれる。

地元のバイク屋へフュー太を持って行きました。店構えは立派なのですが、小さな地元のバイク屋です。売る経緯、事故の事等を話して、書類を見せます。

そして、バイクをチェック。隅々まで見て、自分に一言言いました。

「すごい綺麗じゃん。」

お!フュー太!高評価だぞ!と心で思ったのですが、その後こんな事を言われました。

「けど、こんなゴミ同然を修理した事故車、どこも買わないぞ。うちで5万で引き取るよ。」

5万!?それに愛する自分のバイクをゴミ同然だと…。自分は激怒してしまいました。

するとバイク屋はやくざの様な恫喝です。「売る気が無いなら持って来るな。査定してやったんだから、売るのが礼儀だろ?」

正確には覚えていないのですが、こんな事を言われてフュー太を抱えて、急いで家に帰りました。

バイク好きの人には、色々な性格の人がいますが、バイクは好きでバイク屋をやっているという方は意外と少数です。今自分がバイク屋で仕事をして思うのですが、バイクは所詮ビジネス…。そこには、怖い人もたくさんいます。

特に小さなバイク屋は要注意…。自分は、見事そんな最悪のバイク屋に当たってしまったのです。

そして、自分はインターネットで大手の買い取り業者に査定を申し込んだのです。買い取り業者は安く買い叩かれるとずっと思っていたのですが、この際そんな贅沢は言っていられません。

4社に依頼をして、その中から1社を決めて、実際に査定をしてもらいました…。

バイク買い取り業者にて。

自分がお願いした業者はバイク王。 CMもたくさんしているし、何よりも連絡が早く丁寧だった上、自宅近くに店舗があるのでお願いしました。

実際に店舗へ行ってみると、店員の方が3人でお出迎え…。何だかVIPな気分になりました。

そして、バイクの状態、売る経緯、事故の事等を話すと、こちらへどうぞ。と、ある所へ連れていかれました。

「応接室!?」

査定中、コーヒーも飲み放題。最高の至れり尽くせりのサービスを受けました(笑)

査定が終わった時に、店員さんが言った一言。

「大事にされていたんですね。事故車とは思えないです。最高のバイクですね。」

先日言ったバイク屋とは大違い。ここならば、きちんとフュー太を引き取ってくれると思い、すぐに契約をしました。

査定額はバイク屋の数倍…。充分納得のいく数字でした。

とりあえず、契約書を交わした後、色々と口頭で説明を受けました…。

そして、ついにフュー太との別れの時が来たのです。

フュー太との別れ。

フュー太との別れの時が来ました。

一緒にたくさん走ったバイクが無くなるのは、とても悲しい事です。一度でも車・バイクを売った経験がある方はわかるかと思います。

店員の方は、「良い方に乗ってもらう様に努力します。」と言ってくれたのですが、その後、誰の手に渡ったかはわかりません。

最後にエンジンをかけさせてもらって、ハンドルを握りました。

すると、なぜか怖くないのです。驚きでした。

また乗りたい。そんな気持ちになったのです。

しかし、フュー太にこだわっていても、今後良い事は無い。「ありがとう。フュー太」と直接話しかけました。

すると、店員さんが「よっぽど愛着があるんですね。」と神妙な顔つきで話してきました。自分は「大丈夫です!」といい、バイクから降ります。

ついにフュー太とのお別れ。不思議と最後は悲しくありませんでした。しかし、この経験が自分の人生に大きなきっかけを与えてくれたのです。

今では小さなバイク屋で働く自分。あの時の事が無ければ、自分はバイクをただの乗り物と思っていただけだったと思います。

いかがだったでしょうか?自分のくだらないバイク売却記でしたが、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

バイクは大切に乗りましょう。そして、売る時は気持ちよく!自分が言いたい事はそれだけです。

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